『紗痲』を自分勝手に解釈してみた

 

 ここでは、「煮ル果実」氏の『紗痲』について自分勝手に解釈していきます。

 

 

 

作品↓↓↓


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百合たまらん。

映像もひとつの物語になっており、まるで映画を見ているような気分です。

煮る果実氏のあの韻の踏み方も大変よく、さらにサビのリズムがとても頭に残ります。

 

今回はこの『紗痲』の動画と歌詞をもとに自分勝手に解釈(妄想)していきたいと思います。

以下、歌詞はpiapro(https://piapro.jp/t/qRBG)より引用しました。

 

 

①クレイの抵抗

「しゃま」とは、小利口な女性に対して罵るような際に使用する言葉らしい。「しゃ」だけでも蔑むような意味がある。ちなみに「おしゃま」は少し違うが、おませな少女のことをいう。

このような題名や動画から示唆されているが、女性同士の話である。

 

登場人物は魅惑的な囚人「Kalmia」、規律正しく真面目そうな看守「Clay Pool」、その他の(おそらく)看守「Tate Brown」「Mayra White」「Aaron Schirmer」。

動画では、このKalmiaとClayの二人がからみあう情事が描かれている。

題名『紗痲』の「紗」は織り目の粗い織物のひとつ。たて糸二本がよこ糸一本をもとに絡みあう。薄くて軽い。「痲」は麻酔などに使われる麻と同様に、しびれるというような意味がある。

これらの字が示すように、少なくともKalmiaにとっては火遊びのような軽い愛であり、一方でClayにとってはしびれるような、正常な判断を麻痺させるほどの愛だったようだ。

 

ちなみに「Kalmia」はきれいなツツジ科の植物でピンク色の花をつける。花言葉の一つは「優美な女性」。英語の花言葉の一つは「裏切り」。

「Clay Pool」はそのまま訳すと「泥の水たまり」。

 

横縞纏う 囚人ファム・ファタール
有象無象搾り Juiceを呷る
夜な夜な酔な 火遊びで 縊死する
女児の蝋が溶ける頃

 

Kalmiaの登場シーンである。嘲るような笑みを浮かべるKalmiaに、Clayは真面目そうな厳しい顔で看守として接している。

ファムファタルは「運命の女」という意味と「男を破滅させる魔性の女」という意味がある。そのほか「有象無象絞り Juiceを煽る」(Juiceには体液の意味もある)や、「夜な夜な火遊び」という歌詞から、Kalmiaが魅力的でかつ小悪魔的な女性であることがわかる。

 

違和感が残業している
空空が寂寂している
淡々とさ こうべ垂れた末に
はい論破って
乾坤一擲 サレンダー
御利口 離合 利己的に
ポジよりネガを誑す

 

「空空寂寂」とは空寂の意味を強めたもので、空虚で静寂な様を示す。

Kaimiaとの最初の対面時、Clayは静かに冷静に看守として彼女に接する。しかしあくまでそれは「看守」としてのClayであり、Kalmiaに惹かれる気持ちが違和感として残っていたのかもしれない。

「ポジ」はpositiveの略、つまり陽で、「ネガ」はnegativeの略、つまり陰である。ここでは太陽のもとに花を咲かせるようなKalmiaが陽で、日陰にできる水たまりであるClayが陰であると思われる。

つまり、Clayが淡々と接するも、そこにKalmiaに惹かれる気持ちがあることをあっさりと見抜かれ、Kalmiaに誑かされている様子ととれる。

ちなみに「乾坤一擲」は運命をかけた大勝負をすることを意味する四字熟語だが、この掛け合いはどちらにとっての運命をかけた大勝負だったのだろうか。

 

上っ面な愛を愛と呼べんなら
如何せん僕はフールみたい
『話したいこともない』って言うから
そこで護身だと気付いたの
上っ面な君を肯定したんなら
僕の立つ瀬とは何処へやら
焦れったい玻璃とファンデーション
舌を曝け出してさ まるで犬

 

ここでサビに入る。

「上っ面な愛を愛と呼べないのなら、あなたは愚か(fool)だ」という言葉がKalmiaから発せられたものだとすると、Kalmiaに一目(上っ面)で惹かれるような気持ち(愛)を受け入れられないClayを愚か者だと嘲わらっているように捉えられる。

また、Kalmiaから「話したいこともない」と言われて、Clayは自分が「看守」として話す「振り」をしていることに、自分自身気が付いたのかもしれない。つまり、自分が好意でKalmiaに話したいと思っているが、それを悟られないように(または認めたくない一心で)「看守」として振る舞って身と心を守っていたのだ。

しかし、そのような気持ちを認めてしまえば、これまでの規律正しく振る舞ってきた自分を否定してしまうことになる。つまり立つ瀬がなくなってしまう。

つまるところ、焦らすような態度を示すKalmia(玻璃とは赤や白の水晶を指すことから、「玻璃とファンデーション」はKalmiaの赤色の水晶のような瞳と肌を示すと思われる)に翻弄される愚かな犬のような自分(Clay)という立場を示している。

 

 

②惹かれていることを認めるクレイ

邪 纏う衆人ファム・ファタール
有象無象絞り Deuceを煽る
様な夜な夜な 火遊びで 意志スルー
情事の牢が解ける頃

自称・天秤はお頭が軽い方に軍杯を上げた
デキャンタに移した程度にしか思ってない
布石をいけず石のように置いた馬鹿

 

二番に入るまえに、子ども時代のような映像が出てくる。

このシーンでは、少女が十字架を持っていることから、この少女はキリスト教徒ではないかと予想される(③でまとめて考察)。

 

さらに二番が始まり、Clayはさらに魅惑的なKalmiaに惹かれていく様子が描かれている。

「自称天秤は~」から身体検査のような場面に移るが、すでにこの時点で、ClayはKalmiaに触れることに下心のようなものがあるように描写されている。

「お頭が軽いほうに」とはつまり、規律正しさのように理性で考えるものではなく、感情で流されるような「愛」が勝ってしまったと思われる。

デキャンタとは、ワインを入れる少し大きめ容器のことで、この容器にワインを入れ、空気と触れさせることで、ワインはより美味しくなる。つまり「簡単に」ワインを美味しくする方法である。

将来のために置くという意味の「布石」を道を塞ぐように置く(いけず石)、つまりClayは、簡単に美味しい思いをするため、ここから先は行ってはいけないという道に「自分の未来」を置いてしまったのだ。

 

上っ面な愛を愛と呼べんなら
如何せん僕はフールみたい
『離したいワケがない』って言うけど
気付かないワケも無いんだよな
上っ面な僕の存在理由はさ
お誂え向きな隘路 贄
ブランデー肌で吸ったなら
しどろもどろになって戯れて

  

Kalmiaにキスされ、「離したいわけがない」と言われ、おそらく相思相愛だと思われるClayとKalmia。

しかし、次には「気づかないワケも無いんだよな」と続く。おそらく、KalmiaがClayを脱走のために利用しようとしていることに、Clayは気づいていたのだろう。 

しかしそれでもKalmiaに利用されることを決心するClay。

隘路とは進むのが難しい道のことであり、この道をKalmiaが進むための犠牲として、Clayは自分の存在意義を見出している。

そして、そのためにClayは、仲間たちを酒に酔わせてしまう。

 

③Kalmiaの手助けをするクレイ、その過去

ここで間奏が入る。

映像は、ClayがカードキーのようなものをもってKalmiaを訪れ、二人は服を脱いでいき、お互いの服を交換する。

つまり、Clayが脱走犯として騒ぎを起こしている間に、Kalmiaは看守の服を着て、堂々と逃げおおせる、というわけだ。

このシーンではだれかの子ども時代の映像が一緒に流れる。

そして最後に複数の子どもに糾弾されている映像と、「Clay kissed me! That's disgustung!(Clayが私にキスしたの!最低!)」というセリフが表示され、その後「Clay」「cry」「fool」の文字と女の子が出てくる。

 

ここの解釈に関しては様々な可能性がある。が、ここでは、「女の子はClayの子ども時代である」と考える。

この間奏の最初のシーンでClayの後に出てくる女の子は、Clayと同じ目の色をしている。

最初に出てきた女の子は髪型からKalmiaかと思われたが、これはミスリーディングで、Clayの子ども時代ではないだろうか。

キリスト教の一部では、同性愛は禁止されている。子ども時代のClayも髪を伸ばしスカートをはいているが、彼女は同性愛者であり、そのことで周りの人間から疎まれたのかもしれない。

その経験から、髪を切り、女性に対する愛を否定し、規律正しいふるまいをしていたのではないだろうか。

 

さて、服を交換したClayとKalmiaは走り、脱走を企てる。

おそらく騒ぎを起こすために表に出ようとするClayに対し、Kalmiaは心配そうな表情を見せる。

そんな彼女を置いて、Clayは一人去っていく。

 

 

④愛の結末

上っ面な愛を愛と呼べんなら
如何せん僕はフールみたい
『話せないこともない』って言うから
そこで誤審だと気付いたの
上っ面な愛を愛と呼ぶんなら
如何せん僕がヒールみたい
お別れのキスも何杯目
邪 見透かされて まるで犬

まるで犬さ

 

最後のサビでは、Clayがヒールで走るシーンから始まる。

「話せないこともない」というのがKalmiaの言葉だとすると、Kalmiaが自分のことを話したいとも思っていないどうでもいい存在だと思っていることを、Clayは知ってしまったのではないだろうか。

この上っ面な愛を愛と呼んでしまったために、悪役(ヒール)となってしまったClay。

Kalmiaにとってはこのような裏切りは数えるほどある出来事の一つでしかないのかもしれない。

 

Clay自身も、騙され、利用されていることに気づいていた。

しかし、それでも、彼女の愛を期待せずにはいられない、まるでパブロフの犬のような状態だったのかもしれない。

Clayの最後は、結局、檻に入れられ繋がれた犬だ。

 

 

 

以上、『紗痲』を自分勝手に解釈させていただきました!

さまざまな可能性が考えられる動画ですので、いろいろなストーリーがあると思います。

その中の一つとして、楽しんでいただけていたらうれしいです。

それではまた。

 

 

 

 

その他、「煮ル果実」氏の作品解釈はこちら↓

 

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